ニセコは外国!?冬は95%が外国人観光客。インバウンドの行く末は?

取材レポート

ニセコは日本ではなく外国なのでは!?

冬は旅行者の95%が外国人観光客と言われているニセコエリアへ行くと、ふとそんな気がしてしまいます。

ある取材で訪れたニセコエリアの飲食店や体験アクティビティ事業者の方々からニセコの現状を伺い、よくも悪くもこの先の近い未来が気にかかりました。

インバウンドの行く末はどうなるのか?リスクヘッジのためにも日本人観光客の対応はしなくてよいのか?さまざまな思いが駆け巡りました。

蝦夷富士・羊蹄山と桜

外国人観光客のお目当ては、蝦夷富士と桜ではなくパウダースノー

取材の合間に何気なく撮った写真は、2016年5月10日、倶知安(くっちゃん)町の比羅夫(ひらふ)地区。行政区分はニセコ町ではなく倶知安町ですが、観光客にとってはいわゆるニセコエリアです。

富士と桜は日本を代表する風景。外国人観光客にとっても、この組み合わせは最強コンテンツの一つでしょう。
でも、北海道から富士山は見えないので、かわりに蝦夷富士(羊蹄山)と桜。

でも、この富士と桜を眺めるために外国人観光客がやってくるのではありません(富士山ではないから当たり前ですけどね…)。

この地区へやってくる外国人観光客の目当ては、もちろんパウダースノー。
20年以上前、南半球にあるオーストラリアの人たちがニセコのパウダースノーの魅力に惹かれてやってきて以来、口コミで続々とやってくるようになりました。
その後、香港やシンガポール、マレーシアなどアジア圏の人たちがやってくるようになり、今はご多聞に漏れず中国人も。

ニセコは外国!?公用語は実質英語

ここ数年はさらにインバウンド勢が大挙して訪れ、今まで日本人しか来なかった飲食店にまで外国人観光客が押し寄せ、来店客の95%が外国人という声もよく聞きます。
そもそも、ニセコの観光協会に値する組織からの連絡メールは、日本語ではなくすべて英語の文面らしいです。

ニセコエリアの公用語は実質英語です。

ただし、外国人が殺到するのは冬の話。春から秋は雪がないので、外国人観光客はサーっといなくなります。かわりやってくるのは、札幌圏在住など比較的近隣の日本人。実際に現地の飲食店などにお話を聞いている限り、外国人比率は一気に逆転するそうです。

客単価の低い近隣の日本人客と客単価の高い遠方の外国人客

旅行者の心理として、近隣へのお出かけではそれほどお金は使いません。
普通の土日休みをいかに安く楽しむかと考える人が多いのではないでしょうか。

海外旅行など滅多に行けない場所では、せっかくの機会ということで奮発してしまう方も多いでしょう。

同じ客数がやってくるのなら、近隣のお客さんより遠方、特に海外のお客さのほうが客単価が高いので儲かるはず。
それならばインバウンドへ注力しよう、という考え方も一理あります。

でも、仮にインバウンド1人の売り上げが道内客10人分の売り上げとした場合、もし1人キャンセルが出たら、インバウンド目当てだと0円ですが、道内客目当てなら9人分の売り上げは立ちます。
政治面や経済面、国際関係などさまざまなリスクを考えると、ある意味賭けというか博打ような…。
まぁ、1人を相手にするのと10人を相手にするのでは、パワーのかかり具合の違いはありますけどね~。

冬に日本人が訪れないのではなく避けている!?

余計なお世話と言われそうですが、9割5分外国人観光客という現状、将来大丈夫なのでしょうかね?なぜ日本人は冬に訪れないのでしょうかね?

日本人のスキー人口が減っているということは当然影響しているのでしょうけど、スキーブームだった30年前100人いたスキーヤーが今は5人しかいなくなったというわけではないはず。
ただ単に、日本人が冬のニセコを選ばなくなった、避けているだけでは…?「ニセコは外国人だらけなので他で滑る」と話すスキーヤーの声も時折耳にしますし…。
ニセコに限らず英語ができて当たり前の世の中なので致し方ないとは思いますが、そもそも至るところで見聞きする言語は異国の言葉ですしね……。

春から秋に外国人、冬に日本人が訪れるようになるのか

外国人観光客が来ること自体はありがたいこと。というより、これからもっともっと増えていくはず。
でも、外国人だけではなく、どうすれば冬に日本人はやってくるのでしょうかね?富士と桜を眺めに、緑の季節でのラフティングやトレッキングをしに、どうすれば外国人観光客はやってきますかね?

「余計なお世話だ」「そんなものいらない」「お前に言われたくない」などと言われてしまえばそれまでですが、この先に国際危機や経済危機、政変や天変地異、公衆衛生上の問題など、何か起きた時に困りやしないかと、他人事ながら案じています。

ニセコエリアを訪れ、取材で巡り見聞きしている中で、ふとそんなことを考えてしまいました。
さらに増え続けるインバウンド、その行く末はいかに!?

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